防護性の科学

    ゴアのファブリクスは、卓越した科学的知見と研究に基づいて開発されています。その結果、ファブリクスは、
    ミリタリー、ローエンフォースメント、消防隊員、救急隊員、治安維持部隊などが遭遇するほぼすべての天候や環境条件に対して防護性を提供します。

    ファブリクスの設計
    35年以上にわたるメンブレンテクノロジーの研究に基づき、ゴアは、水だけでなく、血液、体液、化学物質、熱と火炎、その他の多くの危険に対する防護性を提供するファブリクスを開発していきました。防護層の開発にあたり、エンドユーザーと協働し、彼らが活動する実際の環境、直面する課題、遭遇する危険について完全に理解するよう努めています。これらの危険には、戦場の環境条件、火災時の極端な温度、事故現場での化学物質や体液、あるいはテロ事件での化学兵器などが含まれます。この理解をメンブレンテクノロジーについての私たちの豊富な知識と合わせることで、各用途に適したバリア層を設計することができます。この協働によって、基準を上回る優れたバリア層を継続的に構築し、着用者が遭遇する可能性のある危険に対して、卓越した透湿性を持つ防護性を提供します。

    メンブレン

    1969年に、ボブ・ゴアが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を発見しました。この画期的な疎水性ポリマーが、特許取得済みのゴアのメンブレンテクノロジーの核を成しています。薄く軽量で耐久性に優れたメンブレンは、ゴアのテクニカルファブリクスを作る際の基盤であり、以下の様々なタイプの防護性を提供できるよう設計されています:

    • 防水性
    • 防風性
    • 透湿性
    • 燃料、血液、体液などの液体に対する耐浸透性
    • 帯電防止
    • 耐炎性
    • 近赤外線の偽装性
    • 化学および生物兵器に対する耐性

    ゴアのePTFEメンブレンには、1平方cmあたり14億個以上の孔があります。これらの孔は、水滴の2万分の1の大きさしかありませんが、水蒸気分子1個と比べると700倍も大きいのです。孔は非常に小さいため、水滴はメンブレンを通りませんが、汗の水蒸気は簡単に放出することができます。

    メンブレンは、撥油性の素材などをePTFEの構造に組み込むことでフィルムに加工されます。こういった素材は汗の水蒸気は外に通しますが、バリア層を形成して、油、化学物質、その他の汚染物質がメンブレンに浸透するのを阻止し、機能の低下を防ぎます。

    ファブリクス

    異なるタイプのメンブレン(またはフィルム)が、高機能テキスタイルに接着され、各コンポーネントの特性を適切なバランスで提供する耐久性のあるファブリクスを形成します。例えば、ある特定のタイプのGORE-TEX ファブリクスを作る際には、GORE-TEX メンブレンを卓越した透湿性を持つ高機能ファブリクスの間に接着します。接着後にテストが完了すれば、ファブリクスはすべてのガーメント、ブーツ、グローブに使用することができ、また、他の素材と組み合わせることで特定の最終用途に対応することができます。

    シームシーリング

    ガーメント、フットウェア、グローブを製造する際、目止めや縫製を施す必要があります。縫製時には縫い針によって生地に小さな穴が開いて、耐水性や耐液性が損なわれてしまうため、完全に縫い目をふさがなければなりません。

    耐水防護性や耐液性を実現するために、ゴアのファブリクスを使用した製品はGORE-SEAM® テープを採用しています。信頼あるゴアの設備と専門知識のサポートによって、この独自のテープがすべての継ぎ目と縫い目の穴を確実にふさぎます。
     

    防護特性
    他のテクニカルファブリクスは、時間の経過や頻繁な洗濯により性能が低下しますが、当社のファブリクスは、製品の耐用年数の間、信頼できる機能を発揮し、その性能を維持するように設計されています。

    水とその他の液体

    当社のePTFE メンブレンの多孔質構造では、孔は水滴の2万分の1ほどの大きさしかないため、水の浸入を防ぐことができます。同様の構造が、有害な液体に対する防護性を必要とするファブリクスにも使用されています。私たちは、ファブリクスが耐水防護性だけでなく、血液、体液、多くの一般的な化学物質、石油由来製品に対しても防護性を発揮するように、メンブレンを設計しています。

    強風の中で着用者を快適に守り続けるため、ファブリクスに組み込まれたePTFE メンブレンは、風を完全に遮断する防風性を提供するよう設計されています。

    ヒートストレス

    人が1時間にかく汗の量は、休息時でコップ1/4杯分(50ml)、激しい活動中ではコップ4杯半分(1リットル)以上、全力疾走した場合はコップ17杯分(4リットル)にあたります。もし、汗の水蒸気が着用中の装備から放出されなければ、すぐに不快感が生じヒートストレスを引き起こす可能性があります。多くのファブリクスは透湿性を持っていますが、高い透湿性と耐液性を兼ね備えたファブリクスは多くはありません。

    ヒートストレスを軽減するために、私たちは透湿性と防護性において用途に応じた特定のニーズを検証します。その後、必要な防護性を損なうことなく汗の水蒸気を外に放出するよう、メンブレンの孔の大きさや密度を調整します。汗の水蒸気が簡単にメンブレンを通り抜けるので、滑走路での航空機の整備作業や、事故現場での救助、火災の消火の際などにおいても、着用者を快適でドライな状態に保ちます。
     

    ケミカル&バイオロジカルハザード

    液体化学物質にばく露する危険がある環境では、従来のバリア層は劣化し、穴があいてしまうことがよくあります。しかし、PTFEは化学的に不活性であり、ディ―ト(虫よけ剤)や、ジェット燃料、その他の石油製品にさらされても時間の経過とともに劣化することがないため、当社のメンブレンは、化学的および生物学的な有害物質による汚染に対して防護性のあるガーメントを作るための理想的な素材となっています。

    化学および生物兵器の脅威に直面する可能性がある場合、GORE® CHEMPAK® ファブリクスが、より高い機能性を発揮します。薄く軽量なPTFEフィルムが、民間およびディフェンス用の両方の用途において、頭からつま先まで全身を防護するギアに使われています。ホットゾーンで必要な防護機能は周辺のエリアで求められるものとは異なるため、ファブリクスは、幅広いプロテクション機能を提供します。ヒートストレスを防止できるよう、最大限透湿性を高めたファブリクスが多く採用されています。